
シーナリーハウス、チーフ設計プランナーの幸野成一です。
私は建物を見に行く時、必ずスケッチブックとスケールを持っていきます。
もちろん写真も撮るのですが、泊まった部屋などは実測してスケッチを書きます。
でも、それって何のためだと思います?
その場所の記録としては写真で十分ですし、むしろ写真の方が正確かもしれません。
でも、記録ではなく、記憶のためと考えると意味合いは変わってくると思います。
写真で撮っていても、なかなか記憶には残りにくいですよね。
実測してスケッチを書くと記憶に残り、自分の引き出しの一つとして脳に残るのです。
私が建築を始めた40年以上前は今のスマホのカメラなどは当然になく、フィルムのカメラはもちろんありましたが、今の時代のようにやたら写真を撮ってもタダという時代ではありませんでした。
なので若い頃からスケールとスケッチブックを必ず持ち歩き、記録ではなく記憶に残し続けてきました。
今の自分の建築設計の思考回路の原点は40年以上続けてきた、この事が原点になっていると思っています。
なので、建築を志す若い人たちにはスケールとスケッチブックを持ち歩く事をオススメしています。
そして、このスケッチは先日プライベートで訪れた、グランディスタイル沖縄読谷ホテル&リゾートの宿泊した部屋のスケッチです。
記憶に残すために実測スケッチをすると同時にもう一つ大切な事があります。
それは、このスケッチを書いた場所の何が1番良かったのか、その場で結論を一つ出しておく事です。
その場で一つの結論を出しておく事が、その後の自分の設計の引き出しの一つになっていくからです。
では、この部屋で良かったところはと言いますと、一見カウンターですが、実は流し台と冷蔵庫が隠されている部分です。
ここです
↓
一見カウンターなんですが、天板を開けると流し台と水栓があり、下の扉を開けると冷蔵庫が出てきます。
住宅ではなかなかやらない手法ですが、寝室が一体のワンルームのホテルでは、とても有効な手段だと思います。これが直接見える既製品のミニキッチンだったりすると、グッとイメージが悪くなりますよね。
住宅においてこの手法を採用するとすれば、例えば、親と同居でキッチンは共用だけど寝室でお茶くらい飲めるようにしたい場合などに、ミニキッチンを単純に置くよりも、家具に組み込む事でグッとオシャレな寝室になる気がします。
最後にもう一度繰り返しますが、実測して、スケッチして、記録ではなく記憶に残し、そこの1番良かったところの結論を出す事で次の新しい提案に瞬時に繋がっていくのだと思っています。