シーナリーハウス、チーフ設計プランナーの幸野成一です。
建物のプランニングをする際、屋根の形状は外観の大きな要素となります。
屋根の形状がその場の風景をつくると言っても過言ではありません。
私たち建築士は街並みの風景をつくる責任を負っていると思っています。
以前、建物は断面から考えると書かせていただきましたが、屋根(外観)も同時に意識して考える事が重要になってきます。
私が考える屋根(外観)のデザイン的ポイントは、
①階高を低く抑えて、主張しすぎない。
②周りの風景に溶け込ませる。
③控えめに、上品にカッコ良く。
デザイン上のポイントは、そんなところを意識してプランニングしています。
でも本来屋根はデザイン的な事だけでなく、機能としても重要な役割を持っています。
①雨から建物を守る。
②夏の日差しをカットする。
近年、庇を全く出さない建物も見かけますが、個人的にはあまり好ましくないと思っております。
また、屋根の形状により、外観の印象は、ずいぶん変わってきます。
主に使っている屋根形状は、
①切妻屋根。
②寄棟屋根。
③片流屋根。
この3つの屋根をその場所の雰囲気に合わせて、使い分けたり、組合せたりしてプランニングしています。
他にも、入母屋屋根なども、どこかで使ってみようと、チャンスを伺っております。
屋根の素材も重要で、
①ガルバリウム鋼板(縦ハゼ葺又は横葺)。
②いぶし銀の和瓦。
今まではガルバリウム鋼板が主流でしたが、今後は、いぶし銀が美しい和瓦も積極邸に使っていきたいと考えています。
屋根の素材により、屋根勾配も変わってきます。
①ガルバリウム鋼板なら、2寸勾配以上
②瓦なら、4寸勾配以上
数字が大きいほど急勾配になり、つまり急勾配ほど、屋根の面がよく見えるという事になります。
軒天(軒裏)も屋根の一部となるので、その素材も重要な要素となります。
①木板張り
②化粧垂木+板張り
③ケイ酸カルシウム板張+塗装
予算とも相談しつつ、ご提案させて頂いています。
屋根の出寸法もデザイン的に重要で、また、日差しのコントロールにも繋がってくるので慎重に検討しています。
軒先の雨樋は一般的な塩化ビニール製のモノは使用せず、ガルバリウムの雨樋、1択で使用しています。
雨の落ちる場所に砂利敷きなどの処置さえしてあれば、平家に限り雨樋無も有りだと思っています。
これは屋根から落ちる雨水を視覚的に楽しみたい場合と、雨樋によって隠れてしまう破風と言われる、木を積極的に見せたい時などに雨樋無のご提案もしています。
このように一口に屋根と言っても、求める機能、形状、素材、勾配、軒天、出寸法、雨樋、破風などのさまざまな要素を吟味して、
その場所にあった選択をし、断面計画と合わせて、総合的に、屋根をデザインして、風景に馴染ませています。
ここから、実例を見ていきましょう。
「苺と暮らす杵築の家」
かなりシンプルな切妻屋根の平家です。
「車寄せのある日出の平家」
本体が切妻屋根で、2台分のガレージ部分が寄棟屋根になっています。
ガレージ部分の軒天を木にする事で、かなりかっこいい外観となっています。
「小さな三角屋根の家」
急勾配の切妻屋根の小屋裏利用の2階建です。
小さい家なので可愛らしい家になっています。
「緑と暮らす家」
寄棟屋根の平家。
ガレージ部分の屋根を、柱を立てずに大きく跳ね出しているのが特徴です。
「景色を取込むスキップフロアーの家」
2階部分は切妻屋根で、1階部分は寄棟屋根の家です。
2階の屋根を低く抑える事で重心が低く、かっこいい家になっています。
「自然と暮らす丘の家」
寄棟屋根の平家。
一部玄関前の屋根を大きく跳ね出しているのが特徴。
「和瓦の別府青山の家」
リビングの天井を高く取るために変形させた切妻屋根の家です。
いぶし銀の和瓦と化粧垂木が特徴で迫力があります。
「つながりの家」
2階部分が切妻屋根、平家の温泉棟が片流れの屋根の家です。
正面から見ると、2階の切妻屋根と一階の片流屋根が続いていくようデザインしています。
そして最後に、シーナリーハウスのモデルハウス「シーナリーの家」の屋根を見てみましょう。
2階まで伸びる切妻屋根の大屋根と、寄棟の屋根との組み合わせ。
一見、道路からの外観は平家に見えますが、2階建です。
かっこ良さは、私が設計した中でもトップクラスだと思っています。
屋根が大分の風景をつくっているモデルハウス「シーナリーの家」を、まだ見られていない方、ぜひ見学にお越しいただき、
他の会社さんの家とシーナリーハウスの家の違いを屋根を意識してご覧いただければと思います。