こんにちは、設計の松木です。
本日は、建物の内観・外観の印象だけでなく、建物性能にも影響を与える窓サッシについて種類と各々の特徴について記載していきたいと思います。
窓サッシは大きく分けてフレームとガラス部分に分かれます。
フレームごとの各々の特徴は以下になります。
以下は各素材の熱伝導率をまとめた表になります。
熱伝導率とは、各素材における熱の伝わりやすさを表す値で、素材の厚さが1mで両側の温度差が1℃のとき、1㎡あたりにどれくらいの熱量が伝わるかを表すもので、数字が大きいほど熱を伝えやすい素材になります。
アルミは樹脂や木の1000倍以上も熱を通しやすい素材であることが分かります。
アルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシで建物全体における外皮平均熱貫流率=Ua値がどのくらい数値として影響してくるのかを確認すべく、サッシのみ条件を変更して比較した結果が以下になります。
外皮平均熱貫流率については、https://www.sceneryhouse.jp/wphouse/3039/を参照ください。
数値としてはUa値が0.01しか変わらない結果となりました。
しかし、アルミ樹脂と樹脂では先の表にある熱伝導率が異なる為、結露を防ぐ観点からは外気温に影響されにくい(表面の熱伝導率の少ない)樹脂サッシの採用が効果的と言えます。
次にガラスの種類についてすが、
窓サッシで一般的に使われるものとして、透明なフロートガラスと不透明な型板ガラスがあります。
その他 機能性のあるガラスとして、フロートガラスの3.5~4倍の耐風圧強度があり、割れた際も小さな破片となりけがをしにくい強化ガラス、ガラスの間にフィルムを入れることで貫通を防止し、侵入防止となる合せガラスなどがあります。
1階の大きな開口部に強化ガラスや合せガラスを採用することで、防災・安全対策としての効果が期待できます。
ガラスごとの割れ方
現在建築される住宅の窓サッシのガラスは、ガラスを2層にしたペアガラスが一般的に多く採用されています。
ガラスとガラスの間の空気層が断熱層の役割を果たし、断熱性能を向上させています。3層にしたトリプルガラスでは断熱層が増えることでさらに断熱性能の向上が見込めます。
LIXILカタログより
上記は2層のペアガラスと3層のトリプルガラスによる熱貫流率の比較になります。
熱貫流率とは、室内外の空気温度に1℃の差があるとき、1時間に壁体(窓サッシ)1㎡を通過する熱量を表し、数値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性能の高い材料といえます。
ペアガラスからトリプルガラスにすることで、熱貫流率が0.32W/m2・K向上し、先ほどのシミュレーションのUa=外皮平均熱貫流率の値は0.02程度あがると想定されます。
ただし窓サッシの金額は、2倍程度かかるためすべての箇所をトリプルガラスにするにはそれなりの費用になってきます。
ペアガラス(以上)の場合は、ガラス層の内部に金属膜をコーティングしたLow-Eガラスを採用することで、断熱・遮熱効果が期待できる為、トリプルガラスの前にまずはLow-Eガラスの検討が良いかと思います。
今回、窓サッシの種類と特徴について記載してきましたが、性能面・コスト面(光熱費などのランニングコストも含め)を考えた場合は、断熱・気密・遮音性に優れる樹脂サッシをベースに考えるのが良いと思います。
さらに、リビングの大開口や外観デザインのポイントとして木サッシを採用することは、意匠上も良くなり経年による愛着もわいてきますので、全体の金額を考慮しながら検討してみてください。
シーナリーの家 LDとウッドデッキの間に米松材の2枚引込戸、奥も同様に木製サッシを使用
本日はこちらで失礼いたします。