こんにちは、設計の松木です。
本日は、今月上棟を行う2棟の屋根の計画について記載していきたいと思います。
以下は、一般的に使用される屋根材の特徴になります。
左から 化粧スレート、ガルバリウム鋼板、(和)瓦
屋根の形状
・切妻屋根:コストが安く、雨漏りのリスクも少ない。妻側(△部分) は雨や紫外線が当たり易い為、経年変化や劣化を起こしやすい 。
・寄棟屋根:4方に屋根面があるため、雨や紫外線は当たりにくく外壁の経年変化や劣化を抑えることができる。コストは高め。
・片流れ屋根:屋根形状がシンプルなためコストは安い。雨や紫外線は当たり易く、1面に雨が集中する為、樋の破損に注意が必要
※コストは屋根工事における材料と施工費を含む
今回の2棟は、ガルバリウム鋼板及び和瓦を使った、切妻屋根のお家になります。
1棟目は 遠くの海を望むことのできるロフトを設けた急勾配のガルバリウム鋼板のお家です。
チーフプランナー幸野さんのスケッチ かわいらしい外観。
マークした屋根のラインをきれいに見せられるかがこの建物の印象を左右する1つのポイントになります。
その為に、
①母屋を先端まで出さずに、屋根を構成する組み方を採用し、屋根先端(けらば)が薄くなるように計画
②軒先のハゼを手前で留めることで、先端をすっきりみせる計画 (シーナリーハウスでは先端平葺きと呼んでいます)
つづいて、2棟目は※垂木を表しにし、和瓦を使ったお家です。
チーフプランナー幸野さんのスケッチ 焼杉の外壁と和瓦の組合せで重厚な外観
今回使用する瓦は兵庫県淡路地方でとれる粒子の細かな土で作られた、いぶし瓦になります。
いぶすことで、表面に膜ができ耐久性が増すことと、特徴的な深みのある銀色の表情となります。
設計のポイントは構造材が表しとなる①、②の部分の計画になります。
・①の部材(母屋)を同一間隔かつ同一サイズにすることで整った印象となり、
・②の部材(垂木)の先端を斜めに加工し、シャープにみせる ことを行っております。
ポイント② 赤ラインのように斜めカットを行い、連続する垂木をシャープにみせる
構造設計者と①のサイズ、間隔の打合せをし、プレカット業者さんと②の詳細を詰め加工の段階に入っています。
化粧材として使用する母屋材
以上は屋根における意匠的なところについて記載しましたが、機能面における雨漏れや木下地の腐食を起こさせない計画であることが大前提となります。
雨漏れや木下地の腐食が起きる大きな要因は防水層の計画があげられます。
屋根面は、日中は70~80℃まで温度が上がり防水材料も高温にさらされます。その為、温度を抑える為の通気層を設ける計画が大切になってきます。
通気層を設けることで、天井裏の温度を5~7℃程度抑えられるとも言われており、また室内の湿気も逃がすことができ、結露防止にもつながります。
通気計画の例
これから家を建てられる方は自宅がどのような構成になっているのか確認してみてください。
2棟の進捗はブログやインスタ(https://www.instagram.com/scenery.house/?hl=ja)などでUPしていきますので、興味のあるかたはぜひご覧ください。
本日はこちらで失礼いたします。