こんにちは、設計の松木です。
本日は、先日に引続き、換気計画のポイントと第1種換気計画の特徴について記載していきたいと思います。
換気は建物内の空気を新鮮な空気に入替えるための役割を担っており、新鮮な空気を取込む給気口と屋外へ汚染された空気を排出する、排気口で構成されています。
各々の位置としては、居室(LDKや寝室など主として滞在する部屋)に給気口を設け、非居室(トイレや脱衣室など常時滞在の無い部屋)より排気を行う計画が理想となります。
気密が良い場合の空気の流れ
第3種換気計画は24時間換気扇のある部屋を負圧にすることで居室にある給気口から建物内へ空気を取入れるシステムとなります。したがって、建物の気密が悪い(躯体に隙間がある)場合、空気を取込む計画としていない箇所からも室内へ空気が入ることとなり、うまく換気ができないことになります。
気密が悪い場合の空気の流れ
上記のイラストからも分かるように換気をうまく機能させるには、給気(空気の入口)と排気(空気の出口)の経路の計画と気密を確保した施工が大切になります。
計画通りの換気経路をより安定して確保する方法として、給気も排気も機械で行う第1種換気を採用することが考えられます。
第1種換気計画の概略図 給気も機械で行うため室内の圧力が一定となり予期せぬ隙間からの空気の流入が抑えられる。
また、外部に取付く給気口と排気口が各々1個となる為、外観はすっきりと見えるメリットがあります。
その他性能面での第3種換気との大きな違いとして、第1種換気は(全)熱交換機を有することができる点にあります。
※熱には、顕熱と潜熱の2種類があり、
顕熱は温度を変化させるのに必要な熱、潜熱は湿度を変化させるのに必要な熱のことを言い全熱は両方を合せた熱のことを言います。
全熱交換機を有することで外気との空気の入替え時に温度だけでなく湿度の調整も行うことができます。
熱交換機による空気の入替りを表した概略図
この場合は外気温0℃、室内温度が20℃の空気を入替えて14℃で室内へ再放出されるため、14/(20-0)×100=70%の熱交換機能を有していることになります。
一般的には90~70%の熱交換ができる機種を空調メーカーは商品として扱っていることが多いです。
第3種換気と第1種換気の価格差は機種、建物規模にもよりますが、おおよそ+50~60万円ほどとなります。
参考として全熱交換機を導入した場合における空調負荷のコスト比較の表になります。
Panasonic(株) より
暖房を多く採用する寒い地域にいくほどコストメリットがあることが分かります。
上記の導入金額とランニングコストを単純に光熱費として算定した場合は、温暖地(大分も含む)では回収できないケースが多いこととなります。
しかし、湿度をコントロールできる点や空気質を考慮した暮らしを重視したい場合は、第1種換気を採用されることは大きなメリットがあると考えられます。
まずは、断熱性能、気密性能を確保することが大切にはなりますが、そのうえで、第1種換気の導入は快適な暮らしをするうえでの1つの方法として考えて頂けたらと思います。
ちなみに、現在暮らしているお住まいがどのような空気環境であるかに興味をお持ちの方は、市販されているCO2濃度計で各部屋を測定してみるのも良いかと思います。数値として1000ppm以下であることが清浄度の一つの目安となりますのでご参考までに。
本日はこちらで失礼いたします。