こんにちは、設計の松木です。
本日は、樋の役割と必要性について記載していきます。
まず、樋の役割は屋根からの雨水を集め雨水枡へつなぐことで地面から雨水の跳返りを防ぎ建物の劣化を防ぐ役割を担っています。
樋の材質として住宅で主に使用されるものとして、塩ビ製やガルバリウム鋼板製があります。
以下は金額と耐久年数の表になります。
材質 | 金額 | 耐久年数の目安 |
塩ビ製 | 安価 | 15~20年 |
ガルバリウム鋼板製 | 塩ビ樋の倍程度と高価 | 20~30年 |
近隣を見渡すと軒先に樋がある建物が一般的に見受けられますが、先に述べた地面からの雨水の跳返りを防ぐ対策を施せば、必ずしも樋を設けないといけないわけではありません。
対策例として
・建物高さを抑え、軒の出を大きく出す
・地面に砂利を敷き水たまりが生じないように計画する
などが挙げられます。
上記の対策を行い樋を無くすことで得られるメリットとして
・建物がすっきり見える
・コストを抑えることができる(樋だけでなく雨水管も無くなる)
・屋根から滴る雨の風情を感じることができる
などが挙げられます。
左手の大屋根は樋あり、右手の車庫は樋なし。樋が無いことで木の化粧破風の水平ラインが強調され、外観の意匠を高めています。
また、周辺の状況により樋を設けないほうが良いこともあります。
例えば、隣地に落葉樹が多く植わってある場合などは、軒樋に葉が詰まり雨水がたまったままの状態となりやすく、樋が破損する可能性があることから、定期的に清掃を行う手間が生じることがあるためです。
本日は、建物の耐久性に関わる樋について記載しましたが、外観の印象にも影響を与えますので、建物高さの低い平屋で検討されている方は、樋なしも1つの選択肢として考えてみてください。
最後に、境内の一角に建築中の案件より。外部の天井(軒天)を木仕上げにすることで、通行時に目に入る雰囲気がとても印象的でした。